DX Column

2023年1月22日

企業が目指すべきデジタルシフトとは?DXとの違いや戦略の要点も解説

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デジタル・トランスフォーメーション(DX)という言葉と同様に、「デジタルシフト」という言葉も広く利用されるようになりました。デジタルシフトとはどのような意味の言葉であり、企業はどのようにデジタルシフトを進めていくべきなのでしょうか。

この記事では、デジタルシフトの概要に加え、DXという言葉との違いや、企業が進めていくべきデジタルシフト戦略について紹介します。

デジタルシフトとは

デジタルシフトの概要

デジタルシフトとは、これまでアナログな方法で実施してきた業務プロセスやビジネスモデルを、デジタル技術を活用したものに移行していく取り組みを指す言葉です。たとえば、これまで対面で実施してきた営業活動をオンライン化したり、請求書や契約書を電子化したりする取り組みも、ひとつのデジタルシフトといえます。また、従来は人が手作業で実施してきた検査業務を、AIに代替するような取り組みも、デジタルシフトの一例です。

このように、デジタルシフトは比較的広い領域に対して用いられる言葉といえます。

デジタルシフトが必要とされている理由

デジタル技術の一般化により、社会全体がデジタルの利用を前提としたものになりつつあります。たとえば、人々の商品選択においてはSNSや口コミのネット検索が不可欠ですし、コミュニケーションにおいては若年層を中心に電話よりチャットなどが好まれるようになりました。

デジタルテクノロジーを利用して既存の産業を破壊する、いわゆる「ディスラプター」の存在により、多くの産業が変化を余儀なくされている現状も関連しています。音楽はサブスクリプション化が進み、物理的なCDは淘汰されてしまいました。書籍はインターネット上での購入が一般化し、電子書籍も出版全体の3割近くを占めるまでに至っています※1。

※1 公益社団法人 全国出版協会「日本の出版販売額」より

企業に求められるデジタルシフト戦略

このような状況において、消費者ニーズにこたえていくために、企業がデジタルシフトを進めていくことは必須といえるでしょう。企業はデジタルシフト戦略として、自社をどのようにデジタル化していくかを企画・検討していく必要があります。

自社の業務プロセスにおいてデジタル化できる領域はないか、また自社のビジネスモデルを念頭に、デジタル技術を活用することで付加価値を生み出すことはできないかを精査し、施策候補を洗い出します。これらに対し、投資対効果なども踏まえ、取り組みの優先順位をつけ、自社のリソースも鑑みながら対応を進めていきます。

デジタルシフト戦略の立案と実行は、長期的に競争力を維持・確保していくために必要な取り組みといえます。

デジタルシフトとDXの違い

近年では、デジタル化を推進する言葉としてデジタル・トランスフォーメーション(DX)という言葉が広く知られるようになりました。特に日本においては、経済産業省が2018年に公表した「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」に注目が集まったこともあり、デジタル化を意味する際にDXという言葉が主に利用されています。

本質的にデジタルシフトとDXに違いはありません。両者ともにデジタル技術を活用して自社のビジネスモデルやプロセスをデジタル化していくことを意味する言葉です。

あえて両者を区別すると、デジタルシフトは上述のとおり比較的広い領域に用いられる概念といえるでしょう。紙中心の業務プロセスをデジタル化する取り組みや、店舗中心の販売をEC化するような取り組みも、デジタルシフトのひとつといえます。

一方で、DXはその言葉どおり「変革」を意味するものであり、企業全体の風土・文化も含め、デジタル技術により新たなビジネスモデルを生み出したり、業務プロセスを変革したりする取り組みに対して用いられる言葉です。

たとえば、デジタル技術により無人店舗を運営したり、個人間マッチングサービスを提供したりするように、デジタル技術で従来には存在しなかった付加価値を生み出すことがDXといえます。

経済産業省のDXフレームワークで理解する

DXについて、経産省の説明をややこしく感じている人もいるでしょう。これは、企業の理解や取り組みに合わせて、説明自体が次のように進化しているからだと思います。

  • 2018年9月:DXレポート
  • 2020年12月:DXレポート2 中間とりまとめ
  • 2021年 8月:DXレポート2.1(DXレポート2追補版)
  • 2022年7月:DXレポート2.2 (概要版)

このうち2020年12月に公表されたDXレポート2で、DXフレームワークが登場しました。DXフレームワークとは、DXの各アクションを取組領域とDXの段階に分けて整理したもので、DXレポート2の本文版で公開されました。この DXフレームワーク の中で、デジタイゼーション・デジタライゼーション・デジタルトランスフォーメーションが、DX推進指標で評価する3つの段階として登場しています。

これを整理すると次のようになります。

現在DXと呼ばれているものは、「広義のDX」「狭義のDX」とがあります。広義のDXは、デジタイゼーション・デジタライゼーション・狭義のDXという全体を指しています。「デジタルシフト」は、この「広義のDX」とほぼ同じ意味と考えるとわかりやすいと思います。

本来のDXは、企業のデジタル変革を目指す「狭義のDX」のことですが、そこまでたどり着けていない多くの企業が「広義のDX」に取り組むことで、自社が時代に取り残されていないことをアピールしているように見えます。

デジタルシフト戦略を成功させるために

企業がデジタルシフト戦略を成功させるためには、どのような点がポイントとなるのでしょうか。

1.導入目的・効果の明確化

もっとも重要なのが、導入目的と効果を明確にすることです。デジタル技術に限った話ではありませんが、技術は導入すれば必ず成果が出るものではなく、目的に応じて効果を生み出せる技術を導入しなければなりません。

デジタル技術の導入には一定の投資が必要となります。むやみにデジタル化を進めることは避けるべきでしょう。

導入効果が明確でない場合は、いわゆるPoC(Proof of Concept:概念実証)としてアイディアの検証を行うことも一案です。PoCにより、比較的少ないコストで導入効果を測ることができます。

2.人材の確保

企業がデジタルシフト戦略を進めていくためには、デジタル人材の確保が重要です。一方で、日本においてデジタル人材は不足しており、各社が確保に奔走している状況といえます。

外部からの採用が難しい場合は、社内人材を教育していく取り組みも必要でし。デジタルシフトに関連するデータ活用やAI、クラウド、デザイン思考といった知識面については、研修座学でも習得しやすい領域です。知識面では研修などを活用しつつ、有望な人材にPoCプロジェクトなど失敗リスクが低い取り組みを担当してもらうことで、実践的なスキル獲得を目指していきます。

3.データの蓄積と活用

データの活用はデジタル化における重要なポイントとなります。データを分析することで、これまで見えてこなかった顧客のニーズや課題が明らかになったり、自社サービスの改善点が見えてきたりします。

一方で、データ活用において簡単ではないのがデータの蓄積です。これまでデータ活用を行ってこなかった企業では、自社内にデータが分散しており、容易に利用できない状態となっていることが多いといえます。

社内のデータを蓄積できるDWHなどのデータベースを構築し、データを集約していくビッグデータ活用が重要です。データは一定蓄積しないと活用できないため、デジタルシフト戦略を進める場合には、早い段階で検討が必要なポイントとなります。

まとめ

この記事では、デジタルシフトについてその概要やDXとの違い、実行時のポイントについて簡潔に整理しました。企業におけるデジタルシフト戦略は決して簡単なものではなく、企業によって最適な手段は異なります。さらに、デジタル化すれば必ず効果が上がるわけではないのも難しいポイントです。

よって、デジタル化を進める上ではスモールスタートが重要です。まずは小さくはじめ、小さく成功または失敗することで、次第に自社にあった取り組みが見えてきます。これからデジタル化を進めようとしている企業においては、まずは小さいプロジェクトから始めてみることをおすすめします。